中古カメラウィルスというのはよく知られており、【ライカウィルス】などというのは
特に有名で ひとたび感染すると、財布のお札に羽根が生えて飛んでいくそうです。
【中古万年筆ウィルス】というのは、もっとマイナーなウィルスですが、
かなり 強力なやつです。
昨日、映画を観に行った 帰りに 千葉市富士見の 質流れ品の店でショウウィンドウに
あった パーカー75 スターリングシルバー。
持っていた ボトルインクにつけて 試し書きをしてみると なかなか これがいい。
とうとう 連れて帰ることになってしまった。
ペン軸はぬるま湯につけておいて よごれを落とし、かなり黒ずんでいたキャップと
胴軸はホワイトガソリンをしみこませた綿布で磨いた。
新品のコンバーターをつけて ペリカン社のロイヤルブルーのインクを詰める。
インクフローは問題がなく 書け味はなかなかだ。
右側は、セルロイドの神様といわれる カトウセイサクショの加藤氏の手作りの
吸入式の万年筆。 美しい万年筆で インクフローもよく 愛用している一品。
ただし 書け味は パーカー75の方が上のような気がする。(感覚の問題なのだが・・)
ペン先の裏の 刻印は 63となっている。キャップのトップがフラットなので最初期のもの。
40年以上も経って この書け味というのは 余程のものだ。
クラフトマンシップが息づく 究極の一品のひとつ、 と言うしかあるまい。
(以下追加) インクフローははるかに 加藤さんの方がよく、いわゆる ぬらぬらとインク
が出てくる感触が味わえる、 名品です。
パーカー75の方は ペン先の弾力が書き手の指先の力を受け止めてくれ、
コシコシ書いているという昔の万年筆の味がある名品。
加藤さんの方は 腕で 書く万年筆。
パーカーは 指先で書く万年筆、とも言えるだろう。